気を取り直して、

「何でここにきたの?」

ときくと、トキはきょとんした様子で首を傾げて一瞬間を置いて、言った。


「……お前が、全然、部室に来ねえから」


ぽつりと呟かれた言葉に、今度は私が首を傾げて。

トキは眉間に深い皺を寄せ、私から目を逸らして続けた。


「…何かあったのかと、思ったんだ」


一瞬


時が、止まった。


…つまり。

トキは


部室に来ない私のことを心配して、わざわざここまで来てくれたということ…?


ぱちぱちと目を瞬かせて、視線を斜め下にずらし俯いているトキを見つめる。


黒髪の間から見えた薄い唇が、動いた。


「まあ、来てみたら案の定、何かゴタついてたみたいだけどな」