振り返ると、入り口の壁にもたれかかってこちらを見ているトキと目が合った。 ―何で、ここにきたの― そう聞こうと口を開いたけれど 私よりも先に、トキの口が動いた。 「……今日は、窓からじゃねえぞ」 私の訝しげな目から何を勘違いしたのか、吐かれた言葉はそれで。 私は俯いて、深くため息をついた。