廊下に出て、清水さんが走っていった方向を見る。

でも、そこにはもう、清水さんどころか、誰の姿は無かった。

何一つ、たしかに掴んだ感触も無いままの自分に、小さく息を吐く。

踵を返して、鞄を取るために教室に戻ろうとした。


「吐きだすだけ吐いて……台風みてぇな奴だな」



……聞き覚えのある声が、背中に当たって


私はそのまま、動きを止めた。