「勉強もスポーツも、何でもそつなくこなして。

いつも一人だけ別のところから、みんなを見下ろしているみたいで。

見ていてむかつくの」

「そんなこと…!」

言葉を遮る私を、清水さんが鋭く睨みつける。


「いらいらするのよ、伊上さんを見ていると。

私、ずっと伊上さんが嫌いだった。

……全然わかんないの。伊上さんって人が見えてこないの。


知りたいけれど分からなくて、どうすればあんなふうになれるのかなって……」


時折止まりながらも、言葉を続ける清水さんを

私は只、見つめることしかできなかった。


清水さんは、私から目線をそらし、苦しげに吐きだした。


「伊上さんを見ていると、自分の能力の無さを自覚するから。

それが嫌で嫌で堪らなかった。」