窓から差し込む夕陽が、ぢりぢりと、頬を焼く。


清水さんの、穏やかに下がっていた目元が、すっと元に戻って
途端に、私を見つめる二つの瞳が冷たい輝きを持った。

……得たいの知れない黒いもやもやが、背中から覆いかぶさる。

震える声で、言った。

「……低レベルでも何でもない。

私が出会った柴農の人は皆、優しくて、強くて。

私もあんなふうになりたいって、思う」

清水さんの口元が、ふわりと緩む。

「あんなふうになりたい?……伊上さんて、何か意外ね」

細められた瞳には、少しも温かさを感じなかった。

「関わったって何も得なんてないじゃない?お節介かもしれないけれど、利益にならないことは正直無駄じゃないかな。

まして、あの柴農生だもん。

伊上さんだって、そんな人たちと関わってるって噂が流れたら、皆に変な目で見られるでしょ?」