朝、7時半に会社に到着。
私は、いつもと同じ時間に会社に着き足を進め社内に入った。
うん。時間ぴったり!
私は、神崎 沙那(カンザキ サナ)
歳は21歳。
この会社に入社してから、もう3年が経つ・・。早いなぁ・・・・。
大分慣れてきたかな?
私は、高校卒業してからすぐにここの会社に入ったの。
初めの頃は、ここの会社の広さと綺麗さに驚きを隠せなかったり
挙句の果てには社内で1時間ほど迷った事もあった。
本当普通じゃ私なんかが居ていい場所じゃないほど、ここの会社は大きくて施設もしっかりしている。
なんで、こんな広い会社に入れたかって??
そ・れ・は!
ここの社長さんが、私のお父さんの友人だから★
思いっきり親、使っちゃったのよねー・・。
まぁ今としては感謝もしてるし、何より仕事に没頭できて毎日が充実しているからいいんだけどね。
そんなちょっとした昔の事を考えていると
後ろの方から明るい声が聞きこえた。
「沙那ー!!」
「あっ!由香里!」
今、私を呼んだのが私の親友の
滝原 由香里(タキハラ ユカリ)
歳は、私と同じ21歳。
ふわふわのショートカットに大きい目をした可愛い子。
由香里とは、入社した時期も同じでそれをきっかけに仲良くなって。
今じゃ、なんでも話せる親友に。
私と由香里は、少し話した後4階の私達の仕事場に向かうためエレベータに乗った。
「ねぇ、沙那。知ってる?」
「何を?」
由香里は、ウキウキと楽しそうな顔をしながら私の様子を伺っている。
なんだろ・・・。由香里が楽しい事??
誰かの誕生日だった・・・とか?
いくら考えても、答えは出てこなくて。由香里の方をもう1度見直した。
「あのね!今日から、社長がアメリカに行ったんだって!」
「・・・えぇ!アメリカに??いつ帰ってくるの?」
アメリカって・・・。まぁ、社長は何処かに行くのが好きそうだからなぁ。
にしても、いきなりすぎない!?
私の会社の社長は、誰にでも優しい人で。でも、何処かに行くのが好きみたいで
秘書の人によく止められているって、上司の先輩に聞いた事がある。
まぁ・・・仕事はしっかりするという凄い人なんですけど・・・。
「んー、わかんないけど・・・。社長がいない間は、代理の人が来るんだって!」
「代理かぁ・・・。」
ちゃんとできるのかなぁ・・・。
こんな大きな会社だけあって、社長の仕事は半端ないと思う・・・。あくまで想像だけど・・・。
だから、今までやっていた社長さん・・・もとい今はアメリカに居るであろう人を尊敬していたのに・・・。
「どんな人なんだろう・・・。」
「社長の息子さんらしいよ?」
「え!息子??」
へぇ・・・。社長、子供いたんですね。
今さらながら、知った事実に驚いてしまう。
「んー、まぁ。私達、ただの社員は関わることもないと思うけどね?」
「そうだね。」
そう。私達は、ただの何処にでもいる社員だから社長をお目にかかれる事は、一年に二・三回ぐらい・・・。
だから、あんまり新しい社長にも実感がわかなかった。
そんな話を由香里としていたら、仕事場に着いていた。
仕事場に入るなり上司の人に挨拶を軽くして、即座に机に向い、昨日まで作成していた資料の続きに取り掛かった。
―――――――――
ふぅ・・・。疲れたぁ・・・。
長時間ひたすらパソコンを打つことだけに集中していたせいか、体がかたい。
んー、と大きく背伸びをして喉がカラカラしていることに気付いた。
お茶でも買いに行こうかな・・・。
資料も一段落ついたし。
コーヒーなら傍にあるけど、今はお茶って気分・・・。
「あの・・・鈴木さん。」
「何?どうかした?」
鈴木さんは、私の先輩で物分りが良く要領がいい美人さん。
「すぐ近くの自動販売機まで行きたいんですげど、平気ですか・・・?」
「えぇ。いいわよ。何か言われたら、私から言っとくわ。」
「有難うございます!」
すぐに立ち上がり廊下に出た。
・・・こっちであってるよね。
廊下を歩きながら、自動販売機の場所を確認した。
「あ、あった!」
自動販売機の前まで、到着して目の前にある飲み物を見た。
自動販売機をじーっと見つめるも、何にするのか迷ってしまう。
お茶は3種類ぐらいしかないんだけど、迷っちゃうんだよね・・・。
「どうしようかな・・・?」
「おい。」
・・・ん??
私が悩んでいると、後ろから聞いたことのない男の人の声がした。
後ろを振り向くと綺麗な顔をした男の人が立っていた。
うわぁ・・・。こんな綺麗な人、この会社にいたんだ・・・。
すらっとした体つきに、さらさらとしている黒い髪。
瞳は吸い込まれそうなくらい、強くしっかりしていて。
何もかも、完璧って感じだった。
「おい、聞こえてるのかよ。」
「え?あっ、はい。」
「っち。早くそこをどけ。」
えっと、今舌打ちした??
「早くしろ。邪魔。」
「なっ!?」
何、こいつ!?
確かに邪魔だったけど、その言い方はないでしょ?!
仕方なく、本当に仕方なく自動販売機の前を退いた私。
そのムカつく男は、すぐに飲み物を選びピッとボタンを押した。
はぁ・・・。顔はいいのに・・・。性格悪くない・・・?
ぼーと自動販売機から出た飲み物をとるその男を見ながら、少し同情した。
「悪くて結構。つか、見るな。うざいから。」
「はい???」
What!?
いきなり失礼な事言われたから思わず、得意でもない英語がでてきた。
だって、うざいって。
無神経にも程がある。
「失礼ですが、言葉遣いを気をつけたほうが宜しいですよ」
「それは、俺の勝手だろ」
そりゃあ・・・勝手だけど・・・。
社会人としてありえない・・・。
「ありえなくないから。」
「ちょっ・・・!」
さっきから何でわかるの!?心の中にしまってたのに!
「あんたさぁ・・・顔に出過ぎ。」
だって・・・
「顔に出るぐらい貴方が失礼だからです。」
事実でしょ?
「何?逆らうのかよ?」
「逆らうも何も・・・」
「お前クビね。」
・・・?
くび・・・?
「そんなの貴方が決められる事じゃないでしょう?」
私の言葉を無視して、さっさと私とは逆方向に歩いて行ったムカつく男。
意味がわからないんですけど・・・。
もー!!苛々するー!!
自動販売機のボタンを押して飲み物を取り、苛々しながら仕事場に戻った。
「あら。どうしたの?」
不思議そうに尋ねてきた鈴木さん。
「・・・鈴木さん。」
ぽわ〜んと鈴木さんの雰囲気に癒される私。
あぁ・・・単純だわ。
「何でもないです!」
「そう。無理はしないでね。」
優しい・・・。
これよ、これ!年上の大人って感じ。
さっきの男とは大違い!
見た感じ年上っぽかったけど・・・。
子供っぽい性格!
苛々を仕事にぶつけるようにパソコンに字を打ちつけていく。
うーん??これ、どっちだっけ・・・・?
「・・・な・・沙那!!」
「へ?何?」
知らず知らずの内に由香里が横まで来ていた。
え?瞬間移動?
「沙那、呼んでも気が付かないんだもん。」
「あ・・・ごめん。」
「いいよ。それよりお昼食べよ?」
もう、そんな時間なんだ・・・。
「うん。行こ!」
私と由香里は、お弁当を食べるために部屋を出て食堂に行った。
ここの会社は、社員用の食堂が設けられていて
そこでいつも私達はお弁当を食べているの。
「あーお腹空いたぁ!そう言えば沙那、何かあったの?」
「え?何が?」
「だって沙那があんなに仕事に夢中なの久しぶりじゃない?」
「あー、うん・・・」
ムカつく奴に会ったって言ったらさすがに呆れちゃうよね?
「なーんでもない!」
「えー!?」
それから、他愛のない話を由香里として
ほのぼのしているお昼だなぁって思った時
「神崎さんですね?」
へ?
何?誰?
後ろを向くといかにも頭の良さそうな男の人が2人立っていた。
「な、何ですか?」
何?の前に誰よ!
「社長の秘書です。」
「秘書?!」
え?何で社長の秘書がこんな所にいるのよ!
「社長がお呼びになられています。」
し、社長が?!