その交差点には給油したガソリンスタンドがある。その先には無数の死体と置き去りのジープ。子供の注意を逸らせたくて、ことさら大きな声で話し掛けた。
「そうか、隆くんか。お兄ちゃんは真樹夫。水島真樹夫って言うんだ」
交差点を左折する。不意に心臓を掴まれたように息を飲んだ。焼け焦げた人間の死体がひとつ、道端に転がっていた。それは紛れもなく自分が殺した男だ。
少し距離を取って通過した。若林も気付いているのだろうが、あえて無視を決め込んでいるのだろう。
「水島さんですか。覚えておきますよ。命以上の恩人ですからね」
バックミラーに映る黒い死体、それがもぞりと動いたように見えた。瞬間、言いようのない悪寒が背中を伝う。
「あなたがいなかったらわたしたちは……」
そして何度か聞いた連続した発砲音が耳に入る。と同時に背中から数回衝撃が伝わった。
「そうか、隆くんか。お兄ちゃんは真樹夫。水島真樹夫って言うんだ」
交差点を左折する。不意に心臓を掴まれたように息を飲んだ。焼け焦げた人間の死体がひとつ、道端に転がっていた。それは紛れもなく自分が殺した男だ。
少し距離を取って通過した。若林も気付いているのだろうが、あえて無視を決め込んでいるのだろう。
「水島さんですか。覚えておきますよ。命以上の恩人ですからね」
バックミラーに映る黒い死体、それがもぞりと動いたように見えた。瞬間、言いようのない悪寒が背中を伝う。
「あなたがいなかったらわたしたちは……」
そして何度か聞いた連続した発砲音が耳に入る。と同時に背中から数回衝撃が伝わった。