バイクは大通りへと躍り出た。道を挟んで高い金網が張り巡らされ、そこが駐屯地であることがわかる。

 そこはまさに文字通り死地だった。

 道を隔てて激しい銃撃の応酬が行われ、重火器が次々と火を噴いている。進路を間断なく横切る弾幕をくぐり抜けるのは不可能だった。というより、

(生きているわけがない!)

 想像を超えた戦場の光景にそう思わざるを得ない。もしここに居たとすれば絶体絶命だ。

 そう思った俺の耳に、拡声器からがなり立てる大きな声が聞こえてきた。

『こっちへ早く!』

(後ろから?)

『聞こえないんですか! 早くこっちへ!』

(まさか……)