通過寸前の四つ角で激しくブレーキングを敢行し、進路を右に取る。後方の装甲車はその大砲を打ち放ったのだ。

 激しく傾くバイクに抵抗するように、腰に回された青年の腕が一層の力を込めた。

(間に合うか!)

 タイヤで引っ掛けた道端のごみバケツが、商店のシャッターにぶつかって激しい音を立てる。次の瞬間、それをかき消す轟音と爆風が背中を焼いた。

 目の前の商店街が赤く照らされ、そしてすぐに元の闇を取り戻す。それは間一髪砲弾から逃れたことを意味した。

「大丈夫か?」

「はい! それより助けて下さい」

(助けるって……)

 その青年の言葉に困惑した。いましがた助けたばかりではないか。

「美里を助けて下さい!」