「めでたい席ですからごちそうを用意しましたよ」

 ついで亜紀もどさくさに紛れてなし崩しに話を取りまとめようとする。

「そうそう、お父さんも私たちの結婚を喜んでよね」

 男として決めるべきところを逃してしまい、慌てて取り繕うように俺は父親に向かって頭を下げた。

「亜紀さんを必ず幸せにしますから!」


それが俺の精一杯だった──


 頂上を示す標識を確認すると、目の前の景色が一気に拓けた。

 昔眺めた灯りはそこには無かった。その代わり、

(なんだあれは?)

 市内上空に無数の光が漂っていた。それが意味するものは多数のヘリコプターが滞空しているということだ。胸騒ぎが止まらない。なにが起こっているというのか?