私は今屋上にいる。

私の体はどんどん、さくの方に吸い寄せられる。

そして、さくを超えた。

私は死のうとしている。

死にたいのになぜか手を離すことができない。

自分でも死にたいのか、死にたくないのか

分からない。

私は、ここから飛び降りると心に決めて

さくから手を離した。

私は生きている。

手を見てみると、誰かが私の手を握って

私を引き上げようと引っ張る。

私は、またさくに捕まった。

私を引き上げた男の子は怖い顔をして

にらみつける。

私は、思わず「ごめんなさい」と謝った。

そのとたん男の子は少し顔が穏やかになって聞いた。

「どうして、死のうとしたの?」

「生きていても楽しくないから」と答えた。

また男の子は怖い顔に戻った。

「親からもらった命をもっと大切にしろよ!!」とどなりつけた。

私は、びっくりした。

こんなふうに怒鳴られたのは初めてだったから。

お母さんにも怒られたことは無かったし、
ちゃんと話したこともなかった。

というより、お母さんは私のことを相手にしようとしてくれなかった。

私は、少し黙り込んで震えた声で言った。

「わ、わかりました。でも、これから生きたとしても楽しいことは、
無いと思うから意味ないですよね・・・」

「なら俺が楽しい人生おくらせてやるよ!」

「はい・・・」