彼らは、なんとなく気晴らしで旅行を計画。
そして、
「旅行と言えば、飛行機だろ!」
という三澤のしょうもない考えと、
譲らない頑固さにより、国内線を使うこととなった。
「よー、っと。 まだ、搭乗開始まで時間もあるし、ここのベンチでのんびりするか」
「はーい」
亜九谷は、どかどかと、多少乱暴に三澤の鞄を地面に置いた。
少し気分がすっとする。
どうせ、たいしたものは入ってないだろう。
「そう言えば、三澤さん。 私達ってどこに行くんですか?」
しかし、亜九谷の問いに対して返ってきた三澤の答えは、実に簡単なものだった。
「さぁ?」
「さ、さぁ……って」
「面倒くさかったから、全部長倉に任せてた」
「んな、無責任な……で、千歳。 どこ行くの?」
「つー、つつつー……」
「いや、モールス的に言われても」
覚えたばかりの知識を使いたがる子供のような長倉に、亜九谷は突っ込みを入れた。