『では、ではー』



三澤は、アナウンスを切った。




「今だ、機長! 機体を落下させてくれ! 助かるにはそれしかない!」



おいおい。
飛行機が落ちたら、解決どころの話ではなくなる。


皆、死ぬのだ。




「な、何考えているんですか!?」




亜九谷は三澤につかみ掛かった。




「いいんだよ、これで」



よくないし。
死にたくないし。
殺すぞ。





ぞっ、と
体から、力が抜けた。






違う。






これは、あれだ。


エレベーターが下がる時に、一瞬軽くなる。


もし、


もし、仮に。









・・・・・・・・・・
下降が落下と同じ速度で行われたら。








「う、うわっ!?」




亜九谷の体は宙に浮かんでいた。


「『コテンドー』を漢字で書くと『虚天道』ってなるらしいぞ」


三澤の言葉。

亜九谷は、はっとしてドアを見た。


その向こうには『無重力状態で従来の力を発揮する』ソラが、シートベルトを外した状態でいる。

あの言葉が本当なら、その空間こそ、彼女の主戦場である。



「ギガンティック・メテオ・クラァァァッシュ!!!」



ドアの向こうで、歓声が上がった。



うわ、すごい気になる。