「……まぁ、探偵が有名になってもロクなことがないからな」
そう言うと三澤は、にやりと笑って歩き出した。
「そういうものですかね…………あ、そうだ」
「ん?」
亜九谷は三澤に声を掛けた。
「私が思うにですね、今回の事件は『類は友を呼ぶ』ってことなんじゃないかと」
「と、言うと?」
「あの……」
亜九谷は少し、言い淀んだが結局言うことにした。
「三澤さんが事件を呼び寄せてる気がするんです、けど……」
「って、ことは俺の存在が事件っぽいってことか!? それは……なんだ、事件だな」
三澤は、亜九谷の発言を違う意味で捉えたようだった。
「ま、商売上、都合が良いかもな」
そう言うと三澤は、歩を速めた。
解決した事件には興味がないかのように。
晴々しい名誉には関心がないかのように。
「……」
亜九谷は少し迷ってから、真意を伝えることを辞めた。
前を行く背中、それに向かって歩き出す。
「今度は、ちゃんと報酬がある事件を呼んでくださいね!」
「おぅ、まかせろ。 次のはガッポリだ!」
実の所、亜九谷はこう言いたかったのだ。
『変態(バカ)は変態(バカ)を呼ぶ』
と。