怒られるかと思いきや、長倉はすんなり連れていかれた。


長倉と男が、客室から出て行ったのを確認すると、

あろうことか、

三澤は急にシートベルトを外し、立ち上がった。



「え、ちょっ、何してんですか!?」

「ほら、お前も。いくぞ!」

「は! え、は!?」

シートベルトをはずされ、

無理に立ち上がらされる。


「あー、乗客の皆様。 たぶん、もう少しの辛抱ですから。 くつろいでてくださいね」

「いや、行くなら、さっさと行きましょうよ!」


のんびり歩く三澤の背中を押す。


「おい、お前ら何してる!」


犯人の声。
これだけ騒いだら、そりゃ、ばれるわ。


「やべ」


小さく呟いて三澤が走り出した。

追って亜九谷も走る。

だって、殺されたくないし。