その視線は……

彼からの物だった。

彼からは神秘的なオーラが放たれているような、妖艶な人だ。

私もあんな人とは付き合った事がない。

嗚呼、父がそうだったか。

今、何処に居るのだろう。

あの世か。海外か。日本か。


「菜月、何食べる?前園君は?私は…このパフェ!」

『あ、私は。これで。』

「あ、あっちにもある!笹本先輩行きましょ!」


晴美の意中の彼は甘い物が苦手らしく、甘党の晴美は同じく甘党の笹本先輩と館内巡りに行った。


『金城さんは椎名さんとすごく仲が良いみたいですね。』

『まあ、研究室の中の唯一の女子ですし』

『あの。前園君って止めません?あと、敬語も』

『そうですね。』

それから、私は彼のことを呼び捨てで“前園”と、
彼は私のことを“金城”と呼び合うことにした。