もう一度、唇を奪われる。

深く深く堕ちて逝きそうなキス。

『……んっは。』

『…っ。菜月、いい?』

彼は私に問い掛けているつもりだろうけど、

もうすでに始まっていた。



私も彼も理性など無くなっていて、

お互いの名前と人間の本当の声、それと水音だけが

この部屋に響いていた。



それだけ。

今の私達にはそれ以上は必要なかった。



私達だけの世界。