私は唇が離れてから状況を把握した。

……亮。

『……菜月、今日泊まっていい?』

心臓がこれ以上ない、って程に体中に響く。

心臓、壊れる。

『菜月に。お前に…触れたい。』

口がぱくぱくして鯉みたいだ。

何も話せなくて彼を見つめることが精一杯だった。

『……ぅん。』

そう答えても緊張は取れず。

彼はずっと私を見つめる。

『今日、泊まっていい?』

脳が動かない。