眠い。太陽の光が眩しい。

朝か。

『はー、ねむっ。って、前園!』

彼が居た。

そうか昨日の夜来たんだっけ。

今は9時。

誰かが、ドアをノックした。

おそらく、看護師さんだろう。

ドアが開く。

朝御飯だろうか。

検診だろうか。

「菜月ぃ、来たよ~」

来客は言葉を失った。

彼を見て。


それは彼女にとって正しい反応だろう。

大好きな彼と恨みの矛先の私が同じ病室に居るのだから。

しかも彼女はきっと朝一で来た。

好感度を上げるために。

「前園君…?え、なんで?菜月、私が好きなの知ってるよね?」

そんなに焦らなくてもいいのに。

だって、私と彼はだいぶ離れている。

第一、同じベッドで寝てる訳でもない。

晴美の大声で彼も起きた。

『何?あ、椎名さん、彼女を攻めちゃダメだ。』

「え、庇うのですか?」

彼も彼女もなんて空気も読めて、頭の回転が早い人なのだろう。