暗い闇から抜け出した。


彼が起こしてくれた。



『菜月、泣いてる…
汗もすごいし』

『あ、ごめんね。

大丈夫だから』


彼が何か言おうとしたけど、アナウンスで掻き消された。





もうスイスに着く。



人生最後の地、スイス。



自然豊かな国。


何かで言ってた、

〔スイスは世界一幸せな国だ〕

って。



彼は知ってたんだ。

私が前、ハネムーンで行きたいって言ってた事。


聞いててくれたんだ。