「え……都会って?」

「東京。」

「え…?……え?」

あたしはパニクって

しまった。

「茉衣、落ち着いて
よ……。」

「俺さ、奈々と仲良く
てさ、たまたま去年
の冬奈々と組んで
歌手にならないかっ
てスカウトされた
んだ。歌手にならな
いかって……。最初
は茉衣や家族や友達
と離れたくなかった
んだけど……
俺の夢だし、追いか
けてみたいんだ。」

あたしは涼介に対して

悲しみではなく

怒りを表した。

「去年から?そんな
1年もあったのに
なんであたしに
相談してくれなか
ったの……?東京
に行くなら会う事
もないよね。もう
終わりにしようよ。
あたしが何のため
に涼介と付き合う
のかもうわかんない。」
「茉衣、俺は別れた
いわけじゃないん
だ………。」

じゃあなによ。

「会えないのに
付き合うだなんて
あたしも涼介も
辛いだけだよ。」

あたしはそう言って

由衣の手をひいて

走って帰った。