いきなり固まる馬鹿。


「……おい」

「…ま、…ね?」


は?


かたすぎる笑顔を浮かべる馬鹿に詰め寄る。


「…お前」

「違う違うっ!お泊りは嘘だよ!!だけど家に入ったのは…ほん…と……」


俺の表情を見て、血の気を失っていく馬鹿。

今の俺の顔は絶対すげぇ自信ある。



「家に…入った?」

「ちょ、調子悪そうだったから!ベッドに寝かせ…」

「…お前、まじ馬鹿じゃねーの」


部屋に二人で入りました?
ベッドに寝かせてあげました?


この業界にそんなボケどこにいんだよ!


「だって…」

「お前な、身の回りに気を付けろよ。あいつらは何処でカメラ構えてるかわかんねぇんだしさ」



しゅん、とした顔をされるが言葉は止まらない。


「……ごめん、なさい」

「……別に」


少し言い過ぎた、と居心地が悪い。



「…そうだよね…もっと気を付けなきゃ」

「………」

「いちる、ありがとう」


感謝されるなんて思ってもみなくて思わず馬鹿を凝視した。


「…なにが」

「あたしのこと、心配してくれたんでしょ?」