「わり、俺今日ここ」


適当なところで車を停めさせてもらった。


車のなかに残ってる晴が何か言いたげに俺を見る。


「…お前、今すっげ情けねぇ顔してんぞ」

「ううううううるせっ!壱流!!」

「ん?」

「もし本当だったとしても…っ!!取り返してこいよっ!?」


柄にもなくガッツポーズを付けてそう意気込む晴翔に微笑を投げ掛ける。



「ばーか」


当たり前だっつーの。

俺以外になんか、落とさせねえ。


帽子を深く被り直し、公園に足を向けた。



入り口に立ち、公園の奥にある木の下を見つめる。




桜の木の下に立ち、じっと木を見上げる姿に思わず目を細める。



足を踏み出し、じゃりっと鳴った地面の音に馬鹿がこっちを見た。



「………いちるっ!!」


顔の大きさに合ってなくてずり落ちそうなサングラスに吹き出しそうになった。


「変装…もっと上手くできねぇのかよ」

「へ?」

「別に。……よく抜け出してこれたな」



疲れているのか馬鹿が少しだけ、眉を下げる。