古いアパートの

換気扇に手を伸ばし

紐を引っ張ろうとした時


ガチャン!と音をたてて

祐介がそこに立っていた。


一瞬
離れていた長い時間の針が
止まって
それからゆっくり
少しずつ動き出したようだった


祐介は暫く
その場に立ち尽くしていた

茶織も
目をぱちぱちさせて
今ここにある
現実を引き寄せようとした