刻々と仁が出発する日が近づく。


あと一週間…


「福井…」


ふと聞き慣れた声がして後ろを振り返った。


「神崎先輩。」


「あの人はただの知り合いなんだ…本気で福井が好きだから。」


「違うよ。あたしはもう神崎先輩を好きになれない。あたしを好き?ならなんであの時に言ってくれなかったんですか。止めに来なかったんですか?」


神崎先輩は追い詰められたように目を泳がせた。

「そ…そんなんだから男出来ないんだよ。せっかく誘ってやったのに…」


はぁ!?


なんて最低な奴。

一発殴ってやりたい。

でもここは会社…

上司に下手な事は出来ない。

美羚は拳を握りしめた。


「じゃあな。福井さん…」

神崎先輩は去った。


会社が忙しくて帰っても仁と録に会話出来ずに寝てしまう毎日。


そんな繰り返しでついに1日前になってしまった。