冬椿と僕は、お腹が空いていた。2人ともスパゲティのランチセットが来ると、物も言わずに食べるのに集中していた。やがて2人は、それに気付くとおかしくて笑い転げた。

「ねえ!そんなにお腹空いてたんだ。朝食抜きじゃキツかったでしょ?」

冬椿に笑われて、僕は少し顔が赤くなった。

「なんだよー、君だってさ夢中で食べてたじゃないか。」


「ふふ、そうね。だって私も朝早かったから…。」

そう言いながら、自分の口元に人差し指をチョンとあてた。

「ついてるわよ。スパゲティのソース。」


「あ、え?ほんとだ。」

僕達は、また笑い転げた。

「ねえ、君も朝食ぬきだったの?」

「ううん食べたけど。だってね、昨日は温泉街のイベントで弾いてたから。朝一番の電車で、まっすぐ来たの。」

「へえ、凄いな!じゃ毎日こんな生活なの?」

「うん、ほとんど毎日。でも私三味線好きだし。」

「僕はそう言うのあこがれるな。楽器は全然弾けないし、多分音楽の才能はないよ。」