ピーンポーン…



――あ、

澪かな。


「はい?」

『あ、雛―あたしー』

「はいはい」

ピッ

ガチャン


あたしはドアを開けた。


「よっス!雛!!」

「はいはい、いらっしゃーい」

あたしは澪を出迎えた。

「はいっこれ!
雛の好きなミルフィーユ!」

「えぇ!?!?
しかもこのミルフィーユ…
あの“パティスリー鈴木”のじゃん!
いいの!?!?」

「うん、いいよ別に
あたしミルフィーユそんな好きじゃない方だから」

「やったぁぁっ!
いっただきますっ!」

あたしは慎重に慎重に
ミルフィーユをつまんだ。


「ん~~~~~っ!!
まーこの生地!
サックサクで香ばしくって
クリームもとろけるし~~っ!!!
いちごも甘々―――ッ!!!!」

あたしは一人で実況みたいなことしてるとき
澪は携帯をいじっていた。


「……澪!
携帯いじってないで聞いてよ!
あたしのこの実況!上手くない?ねぇ?ちょっと澪?
ねーぇねーぇぇ!!かまってよぅぉぉぉぉ~~…!!!」

それでも澪は携帯をいじるのをやめない。

「みー…ぉさん…」

さすがのあたしももう諦めた。