学校を出た瞬間、あたしに声をかけてきたのは、ハタチくらいの男の人だった。


「ちょっと、道を教えてほしいんだ」


優しそうなオーラが漂うその男の人は、全然悪そうな人には見えなくて。

大丈夫です、なんて答えてしまったことに、すぐに後悔する。


「じゃあ、行こっか」


男の人は、あたしの手をぐいっと引っ張る。

―――ヤバい。

そう思ったけど、今更“やっぱりやめた”なんて言えるわけもなく、

何より、力が強くて、引き返せない。