「ナツキー!帰るぞ!」


教室のドアの向こうで、ハヤトがあたしを呼ぶ。

ハヤトとは、生まれた時からお隣さんで幼なじみっていう関係。


「わかってるから大声ださないで」


そう言いながら、手早く荷物をまとめる。

あちらこちらからは「ヒューヒュー」とヤジが飛んでくるけれど、それももう慣れてしまった。

ハヤトと並んで帰ること。

それは、中学生になった今でも続いている、お母さんからの言いつけだ。

13歳になる今日まで、ほとんど毎日の日課。