窓の両端にあるラッチを押さえ、力をこめて引き上げる。
ほんの少しの冷気と、柔らかい春の匂いが一気に車内に流れ込んだ。
中央で2分割されたガラスが上限まで引き上げられる。
ラッチをつかんだ手に未央の小さな白い手が触れた。
ヒンヤリと冷たい小さな手。
「どしたんだ? 終業式もう終わったのか?」
「……」
「みんな何にも言ってこないか? 他の先生は?」
「大丈夫……私は被害者になってるから」
それを聞いて心底ほっとする。
少なくとも未央だけは守れたのかもしれない。
ほんの少しの冷気と、柔らかい春の匂いが一気に車内に流れ込んだ。
中央で2分割されたガラスが上限まで引き上げられる。
ラッチをつかんだ手に未央の小さな白い手が触れた。
ヒンヤリと冷たい小さな手。
「どしたんだ? 終業式もう終わったのか?」
「……」
「みんな何にも言ってこないか? 他の先生は?」
「大丈夫……私は被害者になってるから」
それを聞いて心底ほっとする。
少なくとも未央だけは守れたのかもしれない。