「でさぁ、伊達ちゃん。
そろそろその身体、智に返してやってくれない?」
二人のやりとりを眺めていた奏さんが、軽い口調で切り出した。
「随分な言い草だな、小童(こわっぱ)。
わしが居なければ、この若造倒れて、朽ちているところだったぞ」
「それはこっちの手落ちだよ。
反省している。
智を守ってくれて、ありがとう」
ふ、っと。
抜けたように笑うと、智さん、こと伊達さんは刀を解いて私に渡す。
それは、ずしりと重い。
「中で、久遠がお茶の準備してるからさ」
「分かった」
言うと、伊達さんはくるりと振り向いてそのキツイ視線で真っ直ぐに私を見下ろしてくる。
「……何、ですか?」
「時は満ちている。
一刻も早く、クロを探せ」
「ヒントは?
あ、えっと。手がかりは?
私に似ているってだけでは、いくらなんでも難しすぎます」
「イチカ。
クロは今、そう名乗っておると聞いた」
……イチカ、ですって?
動けなくなった私に、くるりと背を向けて伊達さんは建物へと戻っていく。
その背中を眺めながら、しばらく。
私は足が動かせずに居た。
そろそろその身体、智に返してやってくれない?」
二人のやりとりを眺めていた奏さんが、軽い口調で切り出した。
「随分な言い草だな、小童(こわっぱ)。
わしが居なければ、この若造倒れて、朽ちているところだったぞ」
「それはこっちの手落ちだよ。
反省している。
智を守ってくれて、ありがとう」
ふ、っと。
抜けたように笑うと、智さん、こと伊達さんは刀を解いて私に渡す。
それは、ずしりと重い。
「中で、久遠がお茶の準備してるからさ」
「分かった」
言うと、伊達さんはくるりと振り向いてそのキツイ視線で真っ直ぐに私を見下ろしてくる。
「……何、ですか?」
「時は満ちている。
一刻も早く、クロを探せ」
「ヒントは?
あ、えっと。手がかりは?
私に似ているってだけでは、いくらなんでも難しすぎます」
「イチカ。
クロは今、そう名乗っておると聞いた」
……イチカ、ですって?
動けなくなった私に、くるりと背を向けて伊達さんは建物へと戻っていく。
その背中を眺めながら、しばらく。
私は足が動かせずに居た。