「奏は何か知らないの?
 俺より付き合い長いだろ?」

久遠さんが奏さんに振る。

「女の子に言い寄られて困っているところは見たことあるけど。
 智が積極的に気に入って、家に連れ帰ってたのは路頭に迷っていた子猫くらいだもん。基本、刀オタクだからね。
 一般的な人が持つ三大欲求よりは、ずっと、刀に対する欲求の方が勝ってるね」

え?
智さんって、変人だったんですか?

「確かに。
 刀のためなら寝ないし、食わないもんなー、アイツ」

「あの集中力は、ほんっと。
 半端ないね」

「うっそっ」

二人の会話を聞いて、私は思わず声をあげる。
ようやく話が見えたんだもの。

それって、つまり。

「じゃあ、智さんって、10日間近く、飲まず食わずもしかしたら、睡眠もとらずに刀のために山に篭ってるってこと~?」


危険極まりないじゃないっ。