奏さんのワゴンに乗って、以前通った道を登っていく。
車内に満ちる緊張感に、飲み込まれていく。
気づけば、手のひらがじっとり汗ばんでいた。
「あの、どうしたんですか?」
つい先ほど、高級紅茶で存分に潤した喉も、既にからからに乾いていた。
「どうもしてないといいけどな」
答えたのは、助手席に座る久遠さん。
口調が冷たいのは、緊張のせいか生来のものか。
それとも皮肉なのか。
気づけば痛いほどに手を握り締めていた。
バックミラー越しに奏さんと視線が絡む。
奏さんの鳶色の瞳が、ふわりと笑いかけてくれた。
「なっちゃんのせいじゃないよ」
でも、その声は若干強張っている。
……何が起こってるの、一体。
得体の知れない不安が、黒い染みのように心の中に広がっていく。
車内に満ちる緊張感に、飲み込まれていく。
気づけば、手のひらがじっとり汗ばんでいた。
「あの、どうしたんですか?」
つい先ほど、高級紅茶で存分に潤した喉も、既にからからに乾いていた。
「どうもしてないといいけどな」
答えたのは、助手席に座る久遠さん。
口調が冷たいのは、緊張のせいか生来のものか。
それとも皮肉なのか。
気づけば痛いほどに手を握り締めていた。
バックミラー越しに奏さんと視線が絡む。
奏さんの鳶色の瞳が、ふわりと笑いかけてくれた。
「なっちゃんのせいじゃないよ」
でも、その声は若干強張っている。
……何が起こってるの、一体。
得体の知れない不安が、黒い染みのように心の中に広がっていく。