「それで、高校時代から霊退治されてるんですか?」

「うーん、ちょっと違うかな。
 高校時代は、霊退治してたって言うほうが正確かも。
 現実世界なんて、そんなに頻繁に霊がいるわけじゃないからね。
 あらかた退治しちゃったら、後はもうおしまい。
 そんなもんでしょ?」

……そ、そんなもんかどうか。
霊退治をしたことが一度もないので、分かりかねますが……。

「じゃあ、えっと。
 どうして奏さんと一緒に暮らしているのかって、聞いても……いいですか?」

立ち入りすぎかしら、なんて思いながら恐る恐る口を開く。

「さぁ」

私の緊張感に反比例する、気の抜けた返事。

「わかんないんだよねー。
 奏に聞いても、放っておけない、の一点張りでさ。
 奏はほら、色々大変だから生活費も出来るだけ安く抑えたほうがいいじゃない?」

えっと。
奏さんって、何かとんでもなく大変な事情をお持ちなんですね……?


さすがに、どこまで立ち入って良いのか距離感が掴めずに、私は曖昧に頷いてみる。