「あ、あの。
 私のカラダが目当てとかいうヤツじゃ……」

はぁ、と。
久遠さんが疲れたように肩を落とす。

「安心しろ、夏希。
 お前の処女がそんな破格で売れるとは思ってない。
 いいとこせいぜい3~5……」

「……馬鹿にしてます?」

久遠さんの言葉を遮って、睨みつける。

これは今後のことも考えて。
一発殴っておいたほうがいいのかしらっ。

「いや、至極本気だ。
 だいたい、自分の姿を見たことがあるか?
 どう見積もってもせいぜい中の上……」

「も、もういいです」

失礼とか、失礼じゃないとか。
そういうことをコイツと話し合ってもらちがあきそうにない。

「とにかく、私が8月31日までここで暮らしてバイトをすればそれに見合った報酬としていただける金額なんですよね?」

「そうだ。おや?
 前渡しなくていいのか。
 不思議なヤツだな」

私が札束をつき返すと、久遠さんは面白そうに笑ってそれを懐に戻した。


……裸の現金を懐に入れて持ち歩くなんて、物騒極まりない人だなぁー。