「バレたら仕方がないよね~。
 言ったじゃない、俺と智とは熱い関係だって」

久遠さんは冗談めかして言いながら、私のために冷たい抹茶を点ててくれた。

「どうぞ」

「えっと、心を落ち着けている場合じゃないんですっ。
 今日、ランチを食べに久遠さんお薦めの喫茶店に行ったんですけど、そこがとても気に入ったのか、帰り際、智さんがマスターに、っていうかママに、キスしようとしてっ」

私は一息でそこまで喋ってから、ゆっくり抹茶に口をつけた。

「ほぉ」

久遠さんは相変わらず笑っている。

「私、慌てて引っ張って帰ってきちゃいました、けど」

「引き剥がしちゃったってわけ?」

「……ええ」

「それは駄目だ、夏希」

「……え?」

久遠さんの言葉に驚いて顔をあげる。