「やっぱり、ここにいたんだね。」



爽やかな声が空に、突き抜けていた。
聞き慣れた声は、今までの不安を払うように体に溶けていく。



『どうして、』


俺の言葉は、続きを発しようとはしない。言葉は、見つからなかった訳ではないが言わなくても伝わっている気がした。



『どうして…う~ん、聞かれると困る』



嬉しそうな顔に俺は、すこしだけ胸が熱くなるのを感じた。



『でも、なんだか…君と一緒にいると落ち着くんだ。』



自分の言葉にしては、真っ直ぐな言葉で自分に驚いた。言ったことがない言葉は、恥ずかしいのだけれど。なぜだか、後ろめたい気持ちは一切なかったんだ。