「あ、桐原くん…」


「帰るか?…」


「あ、待ってよ。」



俺らは、夕焼けに染まった校舎を一番に抜け出していた。



「あ、お前に言わなきゃな。」


「だから…お前じゃなくて、桜井玲華だってば。」



「桜井さん。…ありがと。」



俺の言葉に、はにかんだ桜井さんの姿は愛おしく映っていた。




それから、程なくその一件が学校に漏れた。それで、俺は1ヶ月の停学処分になってしまったんだ。



「桐原くん、…」


「どうしたの?」


「桐原くん、何もやってはいないのに停学なんて…、そんな…。悪いことなんて、してないのにね。」