「いってぇ…」



ボロボロだ。口の中は切れていて、麻痺した舌は微かに異様な味を乾いた喉を流れていく。



屋上の真ん中で、空と向き合っていた。体は、重くて更に痛さを通り越して何も感じ取れない。




「…桐原くん。」


どこかで、声がした。でも、あいにく体は自由が効かない。唯一、感覚を取り返した左腕を空に突き上げた。



「大丈夫…じゃ、無いよね。」




薄れていく記憶の中で、心配して覗き込んでくる女の子の顔を瞼の裏にうっすら焼き付いていくのを感じた。