僕の捉えたがっかりした姿は、勘違いだった。誰だって、悲しい出来事を抱えている。その事を、僕は心奥底で染み入るように感じていた。



『今日は、いろいろありがとう。』


僕らは、あの時の二本道に辿り着いていた。そして、僕はいつもとはまるで容姿が違う桜井さんを瞳は映していた。



『うんうん、こちらこそありがとう。…侑人、あたしこそ…ごめんね。』


想いを溜めた瞳は、僕の心奥底に焼き付かせた。


『うん…。…帰ろうか。』


僕は、桜井さんが何時も歩いている道を言葉を交わすわけでもなく何をするわけでもなかった。



ただ、一緒に歩き出していた。