『どうかな?どうとも、想わない…かな。』


『そうなんだ…。』


僕の答えに、桜井さんはがっかりしているように僕の目は捉える事が出来た。


『私は、嫌い…。』


足元に、目をやりなから桜井さんは声を細くして地面に押し付けた。


『そっかぁ。…理由、聞いてもいい?』


『うん…。あたしがちっちゃい頃なのだけど、丁度今頃の季節だったんだ。あたしの家族は、無くなったの。』



桜井さんは、その時の事を淡々と話してくれた。

今のような季節に、桜井さんの家族は丁度旅行から帰る最中だった。家までもう少しのところで、操作が利かなくなった鉄の塊が桜井さんの乗った車に向かってきて事故という最悪のシナリオを描いた。
桜井さんの両親はその時に亡くなられて、6才の弟は今も病院で治療を続けているんだって。
その事件があったのが、今から3年前の事だって桜井さんは何度も声を詰まらせながらも必死に話してくれた。