時間だけが、その場を支配していく。でも何時もより、そう言った空気は、何故か退屈だとは想わないというのは不思議に感じていた。



『侑人、ごめん。』



桜井さんは、聞こえるか聞こえないかの声を俺に向ける。



『どうして、謝るの?』



俺は、迷わず口にしていた。いつもなら、そんな事あるはずがないのに。



『侑人だって、さっき謝ったじゃん。』



『あ、…。』


目の前にいた、桜井さんの悲しげな顔が少しだけ歪んだ。桜井さんのはにかんだ顔にこそばゆい感覚を、覚えた。