“急に何よ…?考えなくはないけど…お互い仕事の時間も、休みの日もなかなか合わなくて、あんま話す暇ないって感じ”




美々ちゃんは、昔から夢だったネイリストになった。




ケンちゃんは、飲食店の店長。




二人は同棲して3年ぐらい経つけど、いまだに結婚する予定とか聞かない。




“アタシのことはいーから。それより、絢音は自分のこと心配しなさいよ”




「えぇー?」




“えぇーって…どうすんの?このままでいいの?”




「…もう6年も経ったなんて…信じられないな…」




“すごいよ…絢音は。アタシには考えられない…6年も逢わないまま想い続けるなんて…”




「自分のことで必死で、6年なんてあっという間だったから…それに……」




“それに…?”




「ううん…また電話かメールするね」




“…わかった。身体に気をつけてね?”




「うん、美々ちゃんも……」




あたしは、電話を切り、アパートのベランダに出た。




「風…気持ちいい……」




この6年間、一度も蒼を忘れた日はなかった。




大学生活も教師になると決めて、単位をたくさん取らなくてはならなくなって、いっぱい勉強したし、サークルとか大学生活も楽しんだ。




毎日、忙しい…自分で忙しくしていたのかもしれない。




それでも夜、眠りに就く頃には蒼の顔を浮かべた。




臨時教師でも、子供たちに触れ合えて、子供たちから学ぶことも多くて、あたしは教師になってよかったなって思う。




すごく楽しいし、充実してる。




あたしのあの日の選択は間違ってなかったんだって。




でも…ふと時々思うのは




あたし、何か大事なモノを忘れてしまったんじゃないかって思うの







――…ねぇ、蒼




ここはね…夜になると




たくさんのそれはもう…数えきれないくらいの星に




包まれるの






蒼にも見せたい……―――