俺は、隆太郎に手を引かれるままに歩いた。




「ここ!」




隆太郎は指を指して立ち止まった。




「ここって…神社に何の用やねん…なんかうまいもんでも落ちてんのかぁ?」




「ちがうよぉ…ゆーや!はやくっ」




「走ったらあかんよ!」




「わかってるよっ」




俺と隆太郎は、御賽銭箱の前に立った。




「なんやねん…隆太郎…」




「ここはね、パパが朝に毎日必ず来てる場所なんだぁ。ボクも何回か一緒に来たの。」




「ふ~ん…そうなんや」




「おねがいすると叶うんだって…パパが言ってた」




「ほんで…隆太郎は何をお願いしたいんや?」




「“ゆーやが早く元気になりますように”だよ!ボクね、ゆーやのこと好き!」




俺は、隆太郎の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。




「ありがとうな…でも俺は、たいした病気ちゃうから、すぐ治るで?」




「そうなのぉ?」




「そーや」




「じゃぁねぇ…“ゆーやがボクとおともだちになってくれますように”にする!」




そう言って隆太郎は、目を閉じて手を合わせた。




「隆太郎…願い事っちゅうのはな、人に言うたら叶わないんやで?」




「えっ!?そぉなの?ゆーやボクと友達になってくれないの?」




「バーカ!もう願う前から友達やろ?」




「ホントッ!?」




「ホンマや…ありがとーな隆太郎」




こんな小さな子が俺の為に……




「みんな心配するで?帰ろうか?」




「うんっ!!」