その日は、よく晴れた日だった。




雲ひとつない青空の下、病院内の庭の芝生の上で、俺は隆太郎の相手をしていた。




「よく見てるんやで?」




「はーい!」




「それっ…」




「わぁぁぁ~っ!!」




俺は、隆太郎に紙ヒコーキの作り方を教え、空に向かって飛ばした。




隆太郎は、俺の横に座ったまま、嬉しそうに紙ヒコーキの行方を目で追っている。




「隆太郎…?」




「ん?」




「……隆太郎は、パパのこと好きか?」




「大好きっ!」




隆太郎の笑顔を見て、アイツはこの子の前では、いい父親なのだろうと思った。




俺には最低な父親だったけれど、アイツはアイツで幸せにやってるんならそれはそれでいいと思った。




「ゆーや!ボク行きたいとこあるんだけど…」




俺のことをもう呼び捨てで呼ぶという…人懐っこい性格が俺と似てるな。




「勝手に外行ったら怒られてまうで?」




「ちょっとぐらいだいじょーぶだよっ!いこっ?」




隆太郎は無理やり俺の手を引っ張って歩き出した。




「どこ行くんや…隆太郎…」




「へへっ」




隆太郎は行き先を言わなかった。




俺はちょっとぐらいならいいかと、隆太郎と病院を抜け出した。