車がゆっくりと止まり、あたしの家の前に着いた。




「……何で…泣いてんねん…」




「…何でもない…なんか…あくびしたら涙出てきちゃった。疲れちゃったかも…」




あたしは手で目をこすった。




「そーか…今日は、ゆっくり休めや」




「うん…気をつけて帰ってね」




そう言って、あたしが車を降りると、遊也も車から降りてきた。




「絢音…っ」




真剣な切ない目をして、あたしを見つめる。




「……蒼と何かあったんか…?」




遊也が無理に笑うから

あたしは余計にツラいよ




「……遊也…」




「……やっぱり忘れらへん?」




「……っ…ちが…」




言えない……




傷つけたくない




あたしはどこまで

偽善者なの…




「あのね…遊也……遊也っ…?!」




――…ドサッ




車にもたれかかるように、遊也がいきなり倒れた。




「…遊也っ?!ゆうやぁーーーっ!」




倒れ込んだ遊也にしがみつき、あたしは泣き叫んだ。




――…悲しき運命




生まれてきた意味を

私は問う



なぜ人は

愛するのだろう



限られた時間の中で



幸せを探し

喜びに涙し



いつかは別れが来る



永遠のサヨナラが



誰もが皆知ってること






それでも私は

愛したい




愛することを

諦めたくない




悲しい運命だと



わかっていても……―――