蒼に抱きかかえられて、女子トイレから出ると、美々ちゃんが廊下の向こうから走ってきた。




「絢音っ!」




「美々ちゃん…」




声が震える。蒼はそっとあたしの身体を下ろした。




「びしょ濡れじゃない…どうしてこんな…ひどいこと…。絢音…大丈夫だかんね?あたしらがちゃんとアンタを守るから…」




美々ちゃんも、びしょ濡れになったあたしを抱きしめてくれた。




「高梨…絢音のこと保健室に連れてってくれるか?」




「うん…もちろん…。蒼くんどこに…?」




蒼は、美々ちゃんの質問を無視して、自分のブレザーを脱ぎ、あたしの肩にかけて歩いていってしまった。




「蒼……」




後ろ姿でもわかる…




すごく怒ってる……




「絢音…歩ける…?あたしに掴まって?」




「迷惑かけてごめんね…美々ちゃん…」




「バカ…何言ってんの?うちら友達でしょ?」




あたしは、美々ちゃんに連れられ、保健室へと向かった。