「何で…?蒼…ここ女子トイレだよ…?」




蒼は…あたしのために女子トイレにまで来てくれた。




ドンドンッ!ドンドンッ…――!!




蒼が、個室のドアを思い切り叩いている…。




「絢音っ!何してんだよっ?ここ開けろよっ」




「イヤ…っ」




こんな姿…蒼に見られたくない…




びしょ濡れの制服…スカートの裾をギュッと掴んだ。




「おまえが開けないなら、俺がそっち行くからなっ」




「蒼…っ!やめて」




ガチャッ…キィィィッ…――。




あたしは自分で、個室のドアを開けた。




「絢音…っ!」




息を切らして、探してくれてありがとう。




幼い時からそうだった。




蒼はいつも、どんな時もあたしを助けてくれたね。




「…ぅぅ…っ…蒼…」




びしょ濡れのあたしを、蒼はぎゅうっと抱きしめてくれた。