いつのまにか辺りは真っ暗になっていた。




遊也がうちに向かってる。ママからもらったプレゼントを部屋に置いて、肌寒いし、もう一枚服を着てこようと思い、自宅まで小走りに走った。




「……誰…だろう……?」




うちの家の前の電信柱に寄りかかってる女の人が見えた。




顔は暗くてよく見えない。




近づき、街灯の光で顔がハッキリわかると、あたしの胸はギュッと苦しくなった。




「え…っ……と……」




驚きのあまり、あたしはうまく話せず、言葉が出てこない。




一度、ちらっと見かけただけ……




それでも忘れるわけない




その人は、あたしに向かって軽く頭を下げた。




「…何か……あたしに…?」




忘れるわけない




3年ぶりに蒼に会いにいった時……




蒼にひどく傷つけられた時……




この人が通りかかって




蒼は


この人を“好き”と言ったのだから………




蒼はあたしじゃなく


この人を選んだ




「…沙羅…さん……でしょ?」




あたしは、必死に平静を装った。