裏切られても

傷つけられても




蒼が

他の誰かを愛していても




あたしはまだ…



蒼を忘れられないよ




こんな時…真っ先に思い出すのは




蒼の顔だから……






家までの道のり、風が冷たく、身体中に突き刺さる痛みを感じた。




もうすぐ…冬がやってくる




春には春の

夏には夏の

秋には秋の

冬には冬の




蒼との思い出がある……




目を閉じれば

一瞬でよみがえる




季節は止めどなく巡るのに



あたしの想いは

立ち止まったままで……







ポケットの中の携帯の振動に気づき、携帯を開くと、メールが届いていた。




“仕事終わった。いまから向かう。遊也”




あたしは遊也を

好きになれるの…?




蒼以上に

好きになれる…?




ねぇ…ママ



人の心って

そんなに簡単なモノなの…?




月日が流れたら

忘れられるって




人は皆、言うけど




悲しみや苦しみは

少しずつ消えていっても




蒼を忘れることなんて




あたしは




きっと…ないんじゃないかって




この先…ずっと


遊也のそばにいて




遊也ともし


結婚したとしても




蒼を忘れることはない……




あたしの気持ちに

遊也はもしかしたら




気づいてるかもしれない




ううん…きっと

遊也は鋭いから




わかってる




一生、蒼を好きなあたしを

遊也は受け止めようとしてる




どうしてそんなふうに

愛せるの…?




あたしはずっと

遊也を傷つけたまま




生きてくの……?




あたしは…どうしたらいいんだろう……